日経アークテクチュア SPECIAL
【これからの学校 2007】
新校舎が設計を進める中で、園児が毎日使用するいすも手がけた。以下の点に配慮して設計している。
まずは、安全な仕上げ。子どもたちは保育室でよく走ったり、はしゃいだりして、いすにぶつかったり、至る所を触ったりする。この対策として表裏のない仕上げにした。木部の面取りはすべてにおいて一様に施し、留めネジは木部に埋まる形で納まるものとした。
次に全体にR形状を多用した。例えば、座面を丸くして、身体の向き変えを容易にし、必要以上にいすを動かさなくても済むようにしている。端口部も面取りにして服などが引っ掛からないようにした。面取り、テーパー形状にしたことで、いす自体が軽くなり、衝突や転倒時のダメージは小さくなったはずだ。
いすの付属的な部分も見直した。通常、いすには、脚キャップやアジャスターなどが、床やいすを保護するために使われている。しかし、子ども用のいすでは良く外れてしまっていることがある。そこで今回は、キャップなどを使用しなくても、問題がないようにするため、足元をR状にした。ただし、足元を丸めすぎると、転倒しやすくなる可能性があるので前後のRは小さくした。
塗装については、地元産のスギを使用した座面に植物オイルで着色し、全体にウレタンを塗った。ウレタン塗装は食器、はしに使われ、硬化後の人体への影響が少ないと言われる仕上げだ。防水性が高いので子どもの失禁などにも問題なく対応する。
カラーリングについては、座面とフレームに色差を付けて、パンダのように2色がはっきりと分かれた色彩にすることで愛着がわくようにした。こうすると、いすの認識がしやすくなるので、いすへの衝突の度合いが低下するものと考えている。
(小原 淳=コンフォートメディア)
■めぐみ幼稚園が採用したいすは、コンフォートメディアのオリジナルデザインだ。 (写真コンフォートメディア)
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■めぐみ幼稚園ではシックスクール対策のために極力接着剤を使用しない工法や材料を採用している。例えば、内壁の上部や天井は珪藻土塗り、壁の下部は木の板張りで自然塗料による仕上げだ。 |
■子どもたちの遊び場にもなるテラス廊下。床はb器質無釉タイル張りだ。タイルの角部は危なくないように丸めている。 |
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